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三枝タミの物語 あ・ら・か・る・と 「三枝タミ 幼年期の終わり」

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Byhslre

皆さん、こんにちは。
三枝タミです。

今日は私の近況をお伝えします。
私がお父さんとケンカしたマーチングバンドの一件以来、特に問題なく穏やかな日々が続いています。

実はお母さんが妊娠しました。
三か月だそうです。
私に新しい家族が出来ることになりました。
とてもうれしいです。

タミちゃん「じゃあ、お母さん。タミ買い物に行ってくるね。」
お母さん「行ってらっしゃい。気を付けてね。タミちゃん」
お父さん「私もついてるから大丈夫さ。」
タミちゃん「お父さん。準備できた?」
お父さん「ばっちりさ。荷物は任せなさい。」

こんな風にお父さんとも仲良くなりました。
お父さんと一度泣いて大喧嘩した後、距離感がわかってきたような気がします。
お父さんもそれは同じだったようで、あの事件から私たちは徐々に変わっていきました。
もう皆さんは気が付いていると思いますが、あれから私の体は急に大きくなりました。
お父さんが怖くなくなったのはそれもあるかもしれません。

もっとも、お父さんは「タミちゃんが抱っこ出来なくなった」と残念がっていましたが・・・

買い物を終えてお父さんに荷物を持ってもらいながら、スーパーからの帰り道、前の父に殴られた時にお母さんと待ち合わせしていた公園に差し掛かりました。

公園からは綺麗な夕日が見えていました。
私は夕日を見ながら、貧乏で三度の食事もろくに取れなかった自分がこんなに満たされた生活を送れている幸せをかみしめていました。

お父さんは私を見てびっくりしていました。
お父さん「どうしたんだい?タミちゃん。」

私はどうやら泣いていたようです。
タミちゃん「何でもないのお父さん。綺麗な夕日を見ていたら、なんだか急に涙が出てきちゃって。」
お父さん「タミちゃんは感受性が豊かだなあ。」

今思えば、お父さんとお母さんが結婚してから雄太が生まれる前のこの僅かな期間が私が子供らしく生きられた唯一の時代で、そして、最も幸せな時代だったと思います。

私は何も疑問を覚えずに友達と笑いあい、家族と団らんし、時にぶつかって泣きながらケンカしました。
でも、それはとても得難い時間だったと思います。

私はこの時、夕焼けの美しさに感動して涙が出たのだと思っていましたが、心の深いところで理解していたのかもしれません。

私は親を殺した大罪人であり、決して幸せにはなれないことに。

しかし、この時は私はそんなことを知る由もなく、帰り道にお父さんと手をつなぎながら、この幸せが永遠に続きますように、私の手に入れた「宝石箱の世界」の輝きが曇りませんようにとを願い続けていました。
いえ、そうならないことを信じていたと言ってもよいです。

帰宅後・・・
お母さんのおなかに耳を当てながら
タミちゃん「私がお姉ちゃんだよ。早く生まれておいでよ・・・・」
そういうとお父さんもお母さんも笑顔で私を優しくなでてくれました。

「きっとみんな幸せになる」私はこの時、何の根拠もなくそう思っていました。

雄太が生まれてから何が起きるか知りもしないで・・・・。

三枝タミの物語 あ・ら・か・る・と END

三枝タミの物語 後編へ続く





今まで読んでくれてありがとう!


前回のマーチングバンド事件で中 学 に上がるまでの子供時代のすべてのエピソードは終わりです。
今回は子供時代のエピローグになります。

「あ・ら・か・る・と」構想倒れエピソード
タミちゃんアメリカに行く・・・熱海の高級旅館で新婚旅行したお父さんとお母さんは、新婚旅行代わりの家族旅行にタミちゃんを連れていきます。
シリコンバレーやニューヨークにタミちゃんが行くお話し。アメリカに行ったことが無いので書けませんでした(笑
生まれて初めて飛行機に乗ってアメリカに行ったタミちゃんが様々なものに触れて驚くお話。


「あ・ら・か・る・と」の空気に合わないので作成を見合わせた物語
三枝タミ・罪の紋章
お父さんとお母さん(タミちゃんの母方のお爺さんとおばあさん)に許してもらったお母さんがお父さんとあいさつに行くお話。
そこでタミちゃんを見たお爺さんは怒り狂って鉄拳を振るう。
タミちゃんは鼻血を出しながら倒れ、お父さん、お母さんは必死で止めるが、お爺さんは「今すぐ親子の縁を切ってタミちゃんを施設に送れ」と怒号を飛ばす。
お爺さんは怒り狂い「あんな親から生まれた子供はロクな人間にならない」「家の財産をすべて乗っ取られるぞ」と罵倒し、タミちゃんはそれに深く傷つく。
そして大人たちがもめている間に7kmほどある自宅まで歩いて帰ってしまう。
夕暮れの公園で泣きながら夕日を見つめるタミちゃん。
迎えに来たお母さんと一緒に抱き合って泣く。
お母さん「ごめんね、タミちゃん。お母さんもお母さんのお父さんとお母さんに会いたかったの」
泣きながらタミちゃんは、「お父さんの財産を乗っ取るつもりがないこと」を証明するために名前はずっと変えないことを心に誓う

※ 母方の祖父母は亡くなる前にタミちゃんに葬式には出てほしくないと言い残し、タミちゃんは葬儀に出ることもできませんでした。
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