今更ハニセレ

ARTICLE PAGE

三枝タミの物語 あ・ら・か・る・と 「お父さんの野望・前編」

author photo

Byhslre

挿絵は作ってないのですが、物語自体は完成しているので公開することにしました。

タミちゃんの住んでいる町でお父さんが義理の娘であるタミちゃんを溺愛していることは既に広く知られるところとなっています。

お父さんは知り合いの市議である「悪田悪之丞」さんと飲んでいました。
※悪田さんはお父さんの同級生のお父さんです。

お父さんを飲みに誘う悪田1
悪田「いやあそれにしても君がこんなに立派になって帰って来るとはなあ。」
お父さん「おじさんも、お元気そうで。」
悪田「タミちゃんどうだ?可愛い盛りだろう。」
お父さん「最近料理を作ってくれるようになりましたよ」
悪田「ほうほう、それも評判になっとるぞ。実はなあ、今日はいい話を持ってきたんだ。」
お父さん「なんでしょう。おじさん。」
悪田「〇×小(タミちゃんの通っている小 学 校)にはマーチングバンドがあってな。これがメンバーも含めてドラムメジャー(指揮者)の決め方があいまいでな。どうだ?次の選挙で力を貸してくれるならタミちゃんをドラムメジャーに推してあげるが。」
お父さん「うーん。ちょっと判断しかねますが・・・」
悪田「そうだな。このビデオを見てくれればわかるよ。」
悪田は自信たっぷりにお父さんにDVDを渡しました。

自宅に戻ったお父さんDVDを見ると・・・・
すぐに悪田さんに電話をして
お父さん「おじさん、是非お願いします。」
悪田「そうだろうそうだろう。そういうとおもっとったよ。」
悪田「いくつか問題があるのだが、全てわしに任せておけ。フフフフフフ」

※ドラムメジャーというのはマーチングバンドの指揮者のことです。とても華々しい衣装を着て、全体の指揮を執ります。ググれば出てきます。名前がわからなくても見たことがある人は結構いると思います。

お父さん「タミちゃんがこれに・・・・」
お父さんはワナワナとふるえました。

実はこのマーチングバンド、親の負担が結構あるため、一部の父兄から苦情が出て、クラスの半分ほど、親の承諾を得た児 童のみが参加、ドラムメジャーの決め方はその時の雰囲気で何となくという実に問題の大きい方式で決めていました。
タミちゃんの代はほとんど渚で確定していました。
タミちゃんはブサイクというわけではなく、むしろ可愛いほうなのですが、身長が低学年の子くらいしかないため、指示が見えずに問題が発生するため、職員室ではほぼ絶望視されていました。

教頭先生「三枝君の父兄が苦情入れてきませんように」

やがて、タミちゃんもマーチングバンドに参加するかどうかのプリントを学校からもらってきてお父さんとお母さんに渡しました。
お父さん「これこれ、これを待っていたよ」
お母さん「あら、貴方、これをご存知なのですか?」(小学校は別だったお父さん)
お父さん「悪田さんのおじさんから聞いたんだ。ひょっとして美恵子さんも?」
お母さん「私もドラムメジャーしましたよ。」
お父さん「さすがは美恵子さん。」
お父さんは悪田さんに手をまわしてタミちゃんをドラムメジャーに猛プッシュすることを決めていたのですが、問題になると困るのでお母さんには言いませんでした。
しかし、お母さんは薄々お父さんが何をするつもりなのかわかっていました。

マーチングバンドのプリントが回収された職員室

担任「教頭先生大変です。」
教頭「何かね」
担任「プリントにドラムメジャーは三枝君が良いという父兄の意見がかなり入っていまして・・・」
その時、電話が鳴りました。
取った先生が、「教頭先生、市議の悪田さんからお電話です。」
悪田「あー、教頭先生ですかな?」
教頭「はあ、そうですが・・・」
悪田「わしは市議の悪田だが・・・マーチングバンドの指揮者は父兄の意見は無視せんよな?父兄の意見を無視すると大変だぞ?君らも仕事がやりにくくなるかもしれん。あ、くれぐれも体には気をつけてな。」
教頭「はあ、ありがとうございます。」
担任「なんですか?」
教頭「あの恐喝市議と噂のある悪田氏からだよ。どうも悪田さんが裏で手をまわしてるみたいだな」
担任「三枝君のお父さんがやらせてるんでしようか?」
教頭「わからん。単に忖度してるだけなのかもしれん。しかしまあ、言うとおりにするのが無難だな。ま、人気のない年もあるし、特に問題はないだろう。」
しかし、プリントの父兄メモには渚に投票しているものも相当数ありました。
そして、タミちゃんは一票差で敗れました。
担任「教頭先生・・・・これ、どうします」
教頭「どうするって言ったって、このまま出すしかあるまい。」

マーチングバンドのドラムメジャーは渚に決定し張り出されました。
タミちゃんはメンバー表を持って帰り、お父さんはそれを見て眉を顰めました。
お父さんはタミちゃんが寝ると悪田に電話をして「おじさん、話が違うじゃないですか?」
悪田「まあまあ、そういうな。どうも人気の凄い子が一人いて、その子にも相当票が入ったようなんじゃよ。年によっては全く人気がないこともあって去年は楽勝だったんだが・・・。まあ、ワシに任せておけ。ワシはプロの政治屋じゃぞ。大船に乗ったつもりでいろ。」


それから数日たったある日、渚が学校を休みました。
タミちゃん「おかしいな・・・渚ちゃんが学校を休むなんて・・・」
タミちゃんは渚の家に行ってみました。
すると足を引きずった渚が三人の上級生らしき男の子に絡まれていました。

タミちゃんは異変を感じて走りました。
タミちゃん「コラーッ。何してるの?」
上級生B「なんだお前は?」
上級生A「こいつ、あの三枝だぞ」
上級生B「オオカミ殺しの三枝か?」(殺してません)
上級生C「こんなナリだけど、クマを素手で倒せるって噂だぞ。」(倒せません)
上級生たちは逃げていきました。
タミちゃん「渚ちゃん大丈夫?」
渚は半べそをかいて言いました「タミちゃんありがとう」
タミちゃん「今日休んだから、気になってきてみたんだ。」
渚「昨日、歩道橋を歩いてたら突き飛ばされたの」
タミちゃんはそれを聞いて眉を顰めました。
その日、タミちゃんは渚を家まで送りました。
タミちゃんは何かがおかしいと思い、学校で渚の取り巻きにいろいろと話を聞きました。
取り巻きの子A「実は・・・・これは噂なんだけど、タミちゃんがドラムメジャーになるために渚様を追い落とそうとしているという話が流れています。」
取り巻きの子B「でも三枝さんは昨日渚様を助けたんでしょ?違うわよね?」
タミちゃん「タミは絶対にそんなことしません。渚ちゃんはタミの一番のお友達だよ」
取り巻きの子A「そうよね。変なこと言ってごめんね。」
タミちゃん「タミも調べてみるので、何かわかったら教えてください」
タミちゃんは腑に落ちない様子で家に戻りました。

次回に続く。
Share

Comments 0

Leave a reply