三枝タミの物語 特別編 「タミちゃんの物語を通じて問いかけたかったこと」
「三枝タミの物語」の冒頭ではタミちゃんが実の父親に日常的に暴力を振るわれているところから始まります。
このシーンはショッキングで救いがなく、思わず目をそむけたくなった方もいるのではないでしょうか?
「あとがき」にも書きましたが、現実の虐待はタミちゃんの受けた虐待よりもっと救いがありません。
三枝タミの物語シリーズ
三枝タミの物語(前編)
三枝タミの物語(中編)
三枝タミの物語(後編)
三枝タミの物語 あとがき
「三枝タミの物語 外伝:三枝美恵子の章」
三枝タミの物語 あ・ら・か・る・と 「希望ヶ丘の決闘」
三枝タミの物語 あ・ら・か・る・と 「レストランの秘密」
三枝タミの物語 あ・ら・か・る・と 「お父さんとドライブ」
三枝タミの物語 あ・ら・か・る・と 「お風呂上がりのフルーツ牛乳」
三枝タミの物語 あ・ら・か・る・と 「翼を持った少女」
三枝タミの物語 あ・ら・か・る・と 「マーケティングリサーチ」
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タミちゃんはお母さんを唯一の心のよりどころとして何とか普通の子供(に見えるくらいには健全に)に育っていきます。
しかし、両親が共に子供の敵となった場合、もっと救いようのない結末になるのが普通です。
現実の虐待 - 虐待死が起きる一般的なケース
2018年の3月に起きた5歳女児の虐待死事件
衰弱させた状態で放置、5歳虐待死で両親逮捕
目黒虐待死 被害女児、大学ノートに「反省文」
死亡した5歳女児が早朝に両親にひらがなの書き取りのノルマとして書かされていた反省文
ママとパパにいわれなくってもしっかりとじぶんからもっともっときょうよりかあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします
ほんとうにおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおす これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいだから やめるから もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいやくそくします
毎朝この反省文を書かされて死ぬまで虐待されたということです。
このケースでは児相も問題なしとして扱っていたそうですが、なぜそのようになるかと言えば、両親がずる賢くばれないように虐待するからです。
子供にとっては親が世界の全てですから、悪いのは親ではなく自分だと洗脳されてしまい、自分がどんなにひどい目に遭っていても外部の人に訴えかけることすらも出来ないのです。
死ぬまで我慢して、死ぬまで自分が悪いと思い込んで死んでいくのです。
北村に水責めにされるタミちゃん。このシーンはどうしても作りたかったです。
タミちゃんの受けた虐待は人によっては顔をそむけたくなるようなものですが、現実の虐待はもっと救いようがなく、単なる「事故死」として処理され、両親に疎まれながら誰にも知られずにひっそりと短い人生を終えている子供もたくさんいると思います。
三枝タミの物語ではタミちゃんはお母さんが新しいお父さんと結婚したことによって普通以上の家庭環境を手に入れ、幸せになっていきます。
三枝タミの物語で出てくる虐待は全然現実を超えてないし、ショッキングでやり過ぎなんじゃないのと思われた方もいると思いますが、全然踏み込みも描写も足りません。
物語の書き手として現実の虐待を超えられないことについては表現者として悔しいところです。
現実と同じものを表現として入れるとあまりに陰惨で救いがなさ過ぎで見ていてあまりにも辛すぎて、受け手の方が受け止められない形になってしまうからです。
タミちゃんの物語のテーマというのはもう少し違う形のものですが、今回報道されたこれらのショッキングな現実の虐待死は恐らく物語として取り入れるのはかなり難しく表現できなかったため、特にこの事件を例に挙げて注釈を入れたくなりました。
といより、「やはり現実にはかなわない」と改めて思い知らされました。
躾けと称して子供に暴力を振るうことの是非
三枝タミの物語を読んで心に何かを感じた方にはぜひ考えていただきたいことがあります。
躾けと称して子供に暴力を振るうことの是非です。
この虐待死した子供とタミちゃんが虐待されていた年齢は偶然に同じ5歳です。
5歳児の平均的な身長は110cmです。
110cmの子供が175cm成人男性に暴力を振るわれるのは
175÷110=1.59
175×1.59=278.25
175cmの人が278.25cmの巨人に暴力を振るわれるのと同じです。
貴方の身長で考えたければあなたの身長に1.59をかけてください。
普通、現実の社会には278cmもの巨人は存在しません。
もしあなたが278cmの巨人に冗談で小突かれたらどう感じるかです。
子供のしつけに暴力を振るっている方、それらを見たり聞いたりしている方は「三枝タミの物語」を通して、これらのことを今一度考えていただければ幸いです。